汽鑵かま)” の例文
「だからよ。船員みんなは小僧を見付みつけ次第タタキ殺して船霊様ふなだまさまきよめるって云ってんだ。汽鑵かまへブチ込めやあ五分間で灰も残らねえってんだ」
難船小僧 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
国内戦時代のことで、そのような悪童的な放浪の道はたまたま赤軍の装甲列車にぶつかり、そこで汽鑵かまたき助手などやることがあったりした。
十歳とおの時から船渠ドックで船腹の海草焼きだ。それから汽鑵かま掃除からペンキ塗りと仕上げて、今じゃツーロン潜水夫組の小頭で小鮫のポンちゃんといやア、チッたア人に知られた兄さんなんだヨ。
から松の渓間の駅に今日から停まり汽鑵かま鳴らす汽車よここは追分
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
ドアを開け放して行く奴があるか。馬鹿野郎。ハッハッ。アトは汽鑵かまへブチ込むんだぞ……ハッハッハッハッハッハッ……。
焦点を合せる (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「……訳はない。そいつを機関室ここへ連れて来い。汽鑵かまへブチ込んでくれるから……いくらか正気付くだろう」
焦点を合せる (新字新仮名) / 夢野久作(著)
そんな時には石炭の代りに、メリケン粉を汽鑵かまにブチ込んで、人間も船体ふねも真白にしてしまったものだがね。もちろんこっちの手落ちだった事は一度もないんだが、不思議に運が悪いんだ。
焦点を合せる (新字新仮名) / 夢野久作(著)
みんな文句云うところアねえ、在りったけの石炭すみ悉皆みんな汽鑵かまにブチ込むんだ。それで足りなけあ船底ダンブロの木綿の巻荷ロールをブチ込むんだ。それでも足りなけあ俺から先に汽鑵かまの中へい込むんだ。ハハハ。
難船小僧 (新字新仮名) / 夢野久作(著)