汚泥おでい)” の例文
無垢むくなる者を尊んで、それに一つの汚点をもつけさせなかったこの汚泥おでいは、そもそもいかなるものであったろうか。
その臭い汚泥おでいの中にさえ、沼沢の上に踊る鬼火のように輝く不思議な燐光りんこうが、霊妙な眼つき、燦然さんぜんたる知力、水底の泥土でいどから発散する微細な電気が、見て取られるのであった。
ちょうど、買ったばかりの白いシャツに、汚泥おでい飛沫ひまつをひっかけられたように。
(新字新仮名) / 新美南吉(著)
下水道にはいってそれらのものにふさわしい汚泥おでいを見るのは、いささか心を慰むるに足ることである。
汚泥おでいも端正に控えている。一見した所では、あの昔の地下廊下かとも思われやすい。