水靄みずもや)” の例文
一同はすぐに、胸まで水にかって追跡に移ったが、すでにボウトは、迫る夕靄ゆうもと立ち昇る水靄みずもやにまぎれて、影も形もなかった。
チャアリイは何処にいる (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
薔薇ばら色に一ぷくいている中流の水靄みずもやの中を、鐘ヶ淵へ石炭を運ぶ汽艇附の曳舟が鼓動の音を立てて行く。かもめの群が、むやみに上流へ押しあげられては、飛びあがって汐上げの下流へ移る。
(新字新仮名) / 岡本かの子(著)