水練場すいれんば)” の例文
私は毎年まいねんの暑中休暇を東京に送り馴れたその頃の事を回想して今に愉快でならぬのは七月八月の両月ふたつき大川端おおかわばた水練場すいれんばに送った事である。
夏の町 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
その夏始めて両国りょうごく水練場すいれんばへ通いだしたので、今度は繁華の下町したまち大川筋おおかわすじとの光景に一方ひとかたならぬきょうを催すこととなった。
その頃、両国りょうごく川下かわしもには葭簀張よしずばり水練場すいれんばが四、五軒も並んでいて、夕方近くには柳橋やなぎばしあたりの芸者が泳ぎに来たくらいで、かなりにぎやかなものであった。
向島 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
丁度来かかる川端には、水練場すいれんばの板小屋が取払われて、柳の木蔭こかげに人がつりをしている。
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)