水挿みずさし)” の例文
「さすがは、評判なお物持ち、結構なお道具ぞろいだ。失礼なれど、そのお水挿みずさしに用いておられるのは、世にいう、赤絵とやらではござらぬか」
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
年に似げない才覚、よく計ったと——日吉の仕方を、心では思いながら、むざむざ失う赤絵の水挿みずさしへの執着に、忌々いまいましさがこみあげて、められもしなかった。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
陽なたに毛氈もうせんを敷いて、そこへ茶の道具だの、水挿みずさしだのまた、釜などもかけ、青空と大地を茶室として、自然のながめを庭としながら、風流に遊んでいるのだった。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「はい。賊の渡辺天蔵が目をつけて来たのは、御当家で御秘蔵の——赤絵あかえ水挿みずさしだといっていました」
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「では、会田屋に泊っているやつが、宿をぬけだして行ったのだろう」と、当然そうあるべきことと、思い当るところをいったが、孫兵衛はそれでもないとかぶりを振って、枕元の水挿みずさしを取り
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)