毛勝けかち)” の例文
毛勝けかちから大明神へ続く尾根の一部ではないかと思ったが、翌日になって矢張やはり釜谷山と毛勝とを連続する主脈の鞍部であることが分った。
黒部川奥の山旅 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
久振りで夜明けに聞く時鳥ほととぎすの鳴く音は耳に快かった。毛勝けかち連山の上にぽっかり浮き上った白山を見付けて覚えず声を挙げる。
北岳と朝日岳 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
町を出た時は右に見えていた毛勝けかち山が、いつか道の正面に立ち直って、Y字形をした大雪渓が、絶頂から僧ヶ岳の右に曳いた尾根の上まで続く。
黒部川奥の山旅 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
その競争者というのは芦峅寺あしくらじの佐伯某というもので、明治三十九年の九月に、此山の裏手毛勝けかち谷の東北面に当る緩傾斜地を登って頂上に出たようである。
越中劒岳 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
近く眼の前に聳えている毛勝けかちの連山は、雪に和らげられた濃い緑の色が穏かに溢れて、昨日のあの苦しさが早やなかばは夢のような懐しい味に変っている。
黒部川奥の山旅 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
白兀の北の毛勝けかち山は二千四百米を抜いてはいるが、其北の駒ヶ岳になると毛勝山より更に四百米も低い。
黒部峡谷 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
漁船などは木の葉を散らしたようだ。旭岳の南には毛勝けかち連山が三峰をもたげ、いずれも長い雪渓を懸けている。この二山の間からは富山平原が望まれ、夜は富山市の電灯が蛍の飛び交うに似ている。
白馬岳 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)