殿楼でんろう)” の例文
安土あづち殿楼でんろうに人は多いが、その中にも彼はたえず追求しているのだった。——真実な生活味と、人間の感じがする人間とを。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
四階の殿楼でんろうを昇りその上に着きますと、誠に綺麗きれいな一室の中央にひかえて居りますとうとき御方のそのそばに大王殿下が坐をかまえ、二、三の将校は外の方に座り数名の侍従官は外側に立って居るです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
「女は男とならんでふなばたる。二人のへだたりは、風に吹かるるリボンの幅よりも狭い。女は男と共にヴェニスに去らばと云う。ヴェニスなるドウジの殿楼でんろうは今第二の日没のごとく、薄赤く消えて行く。……」
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「いや何。わしはこの亀ヶ谷へ、わしの居館を建てようかと、道々も、その殿楼でんろうや門造りなど、頭に図を描いて来たのじゃ。……が、来てみれば、案外の狭さに、失望したのだ」
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
とある、その宏大壮麗な一地域であって、殿楼でんろう数寄すきはいうまでもないこと、園内にはひろやかな池水をたたえ、峰からは滝津瀬のひびきをくだし、浮島のなかに夢殿を、なぎさには法水院を。
と、本丸の殿楼でんろうを、あちこち尋ねまわったが、見あたらない。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)