残酷むご)” の例文
旧字:殘酷
終夜夫アレサンドロ氏によって残酷むごたらしき責め折檻に遭わされたらしく、額部より顔面へかけて三カ所のきずがあった。
陰獣トリステサ (新字新仮名) / 橘外男(著)
けれども残酷むごたらしくくだかれたその花と茎のあわれな姿を見るや否や、彼はすぐまた一種の果敢はかない気分に打ち勝たれた。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「ええッ。このような残酷むごい事をば誰がした……誰がした……タ……タッタ一人の大切な娘をば……祝言の日を前にして……ええッ。誰がした。誰がした。誰がした事かいなあッ……」
責め抜いた残酷むごたらしさ——沈黙を守ろうと思い立つように成った心のもだえ——きちがいじみた真似まね——同窓の学友にすら話しもせずにあるその日までの心の戦を自分の目上の人達がどうして知ろう
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
あの朝早よう、イの一番に見て置いたが、残酷むごい事をしたもんじゃなあ。胴中から右と左の二段にタッタ一討ちの腕の冴えようは、当節の黒田様の御家中でも珍しかろう。そればっかりじゃない。
責め抜いた残酷むごたらしさ——沈黙を守ろうと思い立つように成った心のもだえ——きちがいじみた真似まね——同窓の学友にすら話しもせずにあるその日までの心の戦いを自分の目上の人達がどうして知ろう
桜の実の熟する時 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
残酷むごいようだが、この方が伯爵にとっても幸福しあわせだろう」
グリュックスブルグ王室異聞 (新字新仮名) / 橘外男(著)