死面しめん)” の例文
この出来事がひどく気になっていただけに、臨終の日「死面しめん」という言葉を聞いた時、私は異様な感じに胸を打たれた。ほんとうに悪い辻占つじうらないであった。鼻の曲がっていたことも。
夏目先生の追憶 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
生きているうちは、ずいぶん美しかったに違いありませんが、すさんだ生活と気持が、その顔容かおかたちまでも荒れさして、意志の働かない死面しめんの凄まじさは、平次も思わず顔をそむけたくらい。
人生の單調と孤獨とをはやくから教へた無愛想な死面しめん寡婦ごけである。
展望 (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
惡魔の讃美者、死面しめんのボオドレエル
太陽の子 (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)