“歯磨(はみが)” の例文
旧字:齒磨
それは唯はた目には石鹸(せつけん)や歯磨(はみが)きを売る行商(ぎやうしやう)だつた。しかし武さんは飯(めし)さへ食へれば、滅多(めつた)に荷を背負(せお)つて出かけたことはなかつた。
素描三題 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
さらに哀(あわ)れをとどめたのは——大勢(おおぜい)の客を呼びあつめ足駄(あしだ)ばきで三方(ぼう)にのっていた歯磨(はみが)き売りの若い男、居合(いあい)の刀を持っていたところから、一も二もなく目がけられて
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
耕す畑も田もないから、仕方なく爺さんは楊枝(やうじ)、歯磨(はみが)き、洗粉(あらひこ)などを行商して、いくらかのお銭(あし)を取り、婆さんは他人の洗濯(せんたく)や針仕事を頼まれて、さびしい暮しをつゞけてをりました。
竜宮の犬 (新字旧仮名) / 宮原晃一郎(著)