歩廊プラツトフオーム)” の例文
澤山な人の群がる歩廊プラツトフオームに立つても、三田は田原と蟒を心待に待つた。ほんとに自分を知つてゐるのは、廣い世の中に此の二人きりのやうな氣がした。
大阪の宿 (旧字旧仮名) / 水上滝太郎(著)
そして思はず涙の浮びかゝつた私の眼から、ぼんやり明け近いかさをかぶつた燈火と、蝙蝠のやうに驛員たちの立つてゐる歩廊プラツトフオームが、見る/\中に後退あとずさつて行つた。
受験生の手記 (旧字旧仮名) / 久米正雄(著)
汽車は程なくスツツトガルトに着いて、皆はどやどやと歩廊プラツトフオームへおりた。くだんの独逸人夫婦は手荷物を受取りに出かけて往つたので、有島氏は娘と差向ひに取残される事となつた。
チエエスは歩廊プラツトフオームに立つたまゝ、いつまでもその方に気を取られてゐた。