此刀これ)” の例文
「よかろう、それまでに、恋いなされた刀なら、此刀これはあなたへ嫁にあげるとしよう。その代りに、あなたも手前に、何か、身に応じたことをして下さればよい」
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「年に一度しか取り出すことを許されない刀だが、明日はその日だ——誰が此刀これをさすことやら」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「では此刀これを取ってくれ」
祖父江出羽守と寸分違わぬ雪白せっぱくの弥四郎頭巾、白い絹に、黒で賽ころの紋を置いた着流し——こげ茶献上をぐっと下目に、貝の口に結び、此刀これがあの女髪兼安なのであろう
煩悩秘文書 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「さ、此刀これだ! 話のいとぐちというのは」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
ゆうべ出がけに此刀これを渡すとき
煩悩秘文書 (新字新仮名) / 林不忘(著)