欣慕きんぼ)” の例文
これが、彼女に漠然と理想的人格の価値を感じさせ、欣慕きんぼと到達の願望を起させ、また信仰の胚種を、その核の中で微かに膨らせて行った。
地は饒なり (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
自分を信じてくれて、その子供じみた信頼のうちに、自分の天才を欣慕きんぼしているあの人のいいキョルネルに。きっとあざけるであろう、嘆願するであろう、騒ぎ立てるであろう——あの友は。
余よりも年少なる英国紳士についてその一挙一動を学ぶ事は骨格の出来上りたる大人が急に角兵衛獅子かくべえじしの巧妙なる技術を学ばんとあせるが如く、如何に感服し、如何に崇拝し、如何に欣慕きんぼして
『文学論』序 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
外面の体裁虚飾に至るまでも、もっぱら西洋流の文明開化にならわんとして怠ることなく、これを欣慕きんぼして二念なき精神にてありながら、独りその内行ないこうの問題に至りては、全く開明の主義を度外に放棄して
日本男子論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
していよ/\賢明けんめいならしめ民をしてます/\欣慕きんぼねん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
わが平生欣慕きんぼするところは是れ。
柵草紙の山房論文 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)