檜皮葺ひはだぶき)” の例文
が、幸ひにして、利仁の声は、一同の注意を、その軒の方へ持つて行つた。檜皮葺ひはだぶきの軒には、丁度、朝日がさしてゐる。
芋粥 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
何という古風な社だろう! その様式は神明造しんめいづくり千木ちぎが左右に付いている。正面中央に階段がある。その階段を蔽うようにして、檜皮葺ひはだぶき家根やねが下っている。すなわち平入ひらいりの様式である。
南蛮秘話森右近丸 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
梅の壺、桐壺、まがき壺に至るまで、百種の花を植ゑ、守殿十二間につくり、檜皮葺ひはだぶきにふかせ、錦を以て天井を張り、桁、梁、木の組入には、白銀黄金しろがねこがねを金物に打ち、瓔珞やうらく御簾みすをかけ、うまや
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
広庭へ敷いた、四五枚の長筵ながむしろの上には、丸太のやうな物が、およそ、二三千本、斜につき出した、檜皮葺ひはだぶきの軒先へつかへる程、山のやうに、積んである。
芋粥 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)