樽神輿たるみこし)” の例文
何處かで祭の太鼓、まだ朝のうちだといふのに、樽神輿たるみこしを揉んでゐるらしい、子供達の聲などが、遠くの方から搖り上げるやうに聽えます。
この駕籠は籐椅子を二本の長い竹に結び、二人の鮮人の舁子かきてが担ぐのだが、樽神輿たるみこしにでも乗った気持ちで甚だ快い。
淡紫裳 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
今も今とて樽神輿たるみこしのうわさをしていたところだった。青ぐろく引っれている彦兵衛の顔を見ると、同心たちは、おかしくなったのであろう、干鯣するめを裂きながら、笑って云った。
鍋島甲斐守 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
折からこの地の祇園祭ぎおんまつり樽神輿たるみこしかついだ子供や大供の群が目抜きの通りを練っていた。
高原 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
子供連もてんでに樽神輿たるみこしを担ぎ廻って喧嘩の花を咲かせる。
山の手の子 (新字新仮名) / 水上滝太郎(著)
向う側の軒下を揉んでいた樽神輿たるみこしが、掛け声をあわせて、此っ方へ寄って来た。
鍋島甲斐守 (新字新仮名) / 吉川英治(著)