横山町よこやまちょう)” の例文
この年に五百の姉壻長尾宗右衛門が商業の革新をはかって、横山町よこやまちょうの家を漆器店しっきみせのみとし、別に本町ほんちょう二丁目に居宅を置くことにした。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
横山町よこやまちょうの質屋の路地奥なんかにきょをかまえて、オホン! とばかり、熊さんはっつあんや、道楽者の若旦那相手に説いたものですが、まったくそうかもしれません。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
主人「ナニ無沙汰の事は何うでもい、が、其の大金を取って横山町よこやまちょうの横と云う字にも足は踏掛ふんがけまいと誓った伊之助が、若の許へ来て逢引をしては済むまいナ」
三日に揚げずに来るのに毎次いつでも下宿の不味いものでもあるまいと、何処かへ食べに行かないかと誘うと、鳥は浜町はまちょう筑紫つくしでなけりゃア喰えんの、天麩羅は横山町よこやまちょう丸新まるしんでなけりゃア駄目だのと
斎藤緑雨 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
五百の帰った紺屋町の家には、父忠兵衛の外、当時五十歳の忠兵衛しょうまき、二十八歳の兄栄次郎がいた。二十五歳の姉やすは四年前に阿部家を辞して、横山町よこやまちょう塗物問屋ぬりものどいや長尾宗右衛門ながおそうえもんに嫁していた。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)