楕円だえん)” の例文
形は円きもの、楕円だえんのもの、長方形のものさまざまである。裏は釉薬なく、焼く折は一つを下に一つをこれにかぶせ、重ねて焼いた。
工芸の道 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
米を苧糸おいとふるいでふるうときに出るものといっているが(飛州志)、そういう道具の普及せぬ頃にはユリという楕円だえん形の木の盆で、米と籾とをゆり分けたので
食料名彙 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
しかし、曲線は、すっきりした、意気地ある「いき」の表現には適しない。「すべての温かいもの、すべての愛は円か楕円だえんかの形をもち、螺旋状その他の曲線を描いてゆく。 ...
「いき」の構造 (新字新仮名) / 九鬼周造(著)
軍に食い入っているはずの砂馬が、どういう口実でこの車を借りたのか、楕円だえん形のナンバープレートのそのDは外交官(ディプロマチック・サービス)の車だという印なのだ。
いやな感じ (新字新仮名) / 高見順(著)
二つの中心を持つ楕円だえんである。事実は一つの中心であり、思想はも一つの中心である。
卵の表面は、完全な球面または楕円だえん面でなく、表面がざらざらしていることは誰でも知っているとおりである。百分の一粍程度を論ずる場合には、もちろん、このざらざらが問題になる。
立春の卵 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
これは星の軌道が太陽を焦点とした楕円だえんだということを示したものでありますが、ニュートンは太陽と星との間にも同じような引力があると考えて、この軌道を説明することができはしまいかと
ニュートン (新字新仮名) / 石原純(著)
巨大な楕円だえんの卓を囲み、諸将は亢奮こうふんして論じあった。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
出雲の品で忘れ得ないもの、また忘れてならないものの一つは「日出団扇ひのでうちわ」であります。簸川郡塩冶えんや村浄音寺で作られます。紙の部分は横に広いやや楕円だえんの形をなし色が白と紺との染分けであります。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
楕円だえん形のナンバープレートには、数字の前にDとあった。
いやな感じ (新字新仮名) / 高見順(著)