梅雨期つゆどき)” の例文
「男らしくもない、そんな事を言って梅雨期つゆどきはどうします、まさか蓑笠みのかさを着て坐ってやしまい。」
沼夫人 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
梅雨期つゆどきのせいか、その時はしとしとと皮に潤湿しめりけを帯びていたのに、年数もったり、今は皺目しわめがえみ割れて乾燥はしゃいで、さながら乾物ひものにして保存されたと思うまで、色合、恰好かっこう、そのままの大革鞄を
革鞄の怪 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
車は母衣ほろさえおろすほどだったのが、梅雨期つゆどきのならい、石段の下の、太鼓橋たいこばしかかった、かわいた池の、葉ばかりの菖蒲あやめがざっと鳴ると、上の森へ、雲がかかったと見るや、こらえずさっと降出したのに
縁結び (新字新仮名) / 泉鏡花(著)