柔婉しなやか)” の例文
彼女はそっと階子段をのぼった。柔婉しなやか体格からだをもった彼女の足音は猫のように静かであった。そうして猫と同じような成効せいこうをもってむくいられた。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
女は年のころ十七、八で翠袖すいしゅう紅裙こうくんきぬを着て、いかにも柔婉しなやかな姿で、西をさしてしずかに過ぎ去った。
世界怪談名作集:18 牡丹灯記 (新字新仮名) / 瞿佑(著)
柔婉しなやかに動く彼女の手先を見つめている彼の眼は、当時を回想するうっとりとした夢の消息のうちに、燦然さんぜんたる警戒のひらめきを認めなければならなかった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)