朱緞子しゅどんす)” の例文
朱緞子しゅどんすの大座布団にふっくらと陣取りながら今か今かと待っていたのに、どうしたことか宿改めの係り役人達は、待てど暮らせどそれらしい者の姿すらも見せないのです。
紫の矢絣やがすりの、色の薄いが鮮麗あざやかに、朱緞子しゅどんすに銀と観世水のやや幅細な帯を胸高に、緋鹿子ひがのこ背負上しょいあげして、ほんのり桜色に上気しながら、こなたを見入ったのは、お妙である!
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)