更級さらしな)” の例文
花の汁が紫インキのようだからというが(更級さらしな)、この新らしい外国産の草を、紙に染める遊戯があるか否かを私はまだたしかめていない。
更級さらしな埴科はにしな水内みのち、高井にわたっての一面な河原地や平野をすべて——川中島四郡と呼びならわしている。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
名に負う永禄元年と云えば、上杉謙信を相手とし、信州更級さらしな川中島で三回寄せ合った合戦の中、二回目を終えた翌年のことで武田家にとっては栄華の絶頂、士気の盛んな時代であった。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「あなたは、更級さらしな日記の少女なのね。もう、何を言っても仕方が無い」
斜陽 (新字新仮名) / 太宰治(著)
更級さらしな姨捨山おばすてやまの月ぞこれ
六百句 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
そう思って気をつけていると、この二通りの話し方いがいに、日本にまたべつの親棄山があり、和歌で有名になっている信州更級さらしな姨捨山おばすてやまなども、その一つの残りの形であるような気がする。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
「彼奴に、追いつかれては大変だ。——というて、この信濃路、山越えして諏訪すわへ抜けるか、千曲ちくまの川原を渡って、更級さらしな水内みのちから越後路へはしるか、二つのうちだが……忠太はどう考えるぞ」
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
次の日は、高井野の里から山田を越え、更級さらしなへ下りてゆく。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
我が心なぐさめかねつ更級さらしなやおばすて山に照る月を見て
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
ウマズイコ 同 更級さらしな