曳舟通ひきふねどおり)” の例文
女はしばらくして曳舟通ひきふねどおりへ引移ったが、いずれにしても山の手から下町へ出て隅田の水を渡って逢いに行くのがいかにも詩のように美しく思われた。
向島 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
掘割づたいに曳舟通ひきふねどおりからぐさま左へまがると、土地のものでなければ行先の分らないほど迂回うかいした小径こみちが三囲稲荷の横手をめぐって土手へと通じている。
幼年時代 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
表門の際のほどには大きくありませんが、風が吹くと横ざまになびいて、あたりの木をでるのでした。木戸を出るとすぐ田圃たんぼです。曳舟通ひきふねどおりが向うに見えます。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
堀割ほりわりづたいに曳舟通ひきふねどおりからぐさま左へまがると、土地のものでなければ行先ゆくさきの分らないほど迂回うかいした小径こみち三囲稲荷みめぐりいなりの横手をめぐって土手へと通じている。
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)