暗愚あんぐ)” の例文
武田の滅亡は、おもとの父、勝頼が暗愚あんぐでおわしたからじゃ。うらむならお許の父をうらめ、馬鹿大将の勝頼をうらむがよい
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼はこの西欧派的な開かれたをもって、ロシアの現実の蒙昧もうまい暗愚あんぐと暴圧とを、残るくまなく見きわめ見通し
「はつ恋」解説 (新字新仮名) / 神西清(著)
たま/\暗愚あんぐの蛮僧に遇つた為に、好んで、この天与の福を失ふやうな事になつたのである。
酒虫 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
遺孤みなしごの身も、国の後事も、一切をあげて託しておくが、もし劉禅が暗愚あんぐで蜀の帝王たるの資質がないとけいが観るならば、卿が帝位にいて、蜀を取れ」
三国志:12 篇外余録 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
元親もとちかも、暗愚あんぐな将ではない。忠兵衛の智略や武辺のたしなみは、老臣中第一の者とは、よく知りぬいている。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いきどおろしいことであろう。家康も、暗愚あんぐながら、その思いには、変りない。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)