智恩院ちおんいん)” の例文
縫助はなお、言葉を継いで、彼と正香とが周囲に群がる人たちと共に、智恩院ちおんいんを出る英国公使パアクスを待ったことを語った。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
たぶん江戸で白河楽翁侯しらかわらくおうこう政柄せいへいを執っていた寛政のころででもあっただろう。智恩院ちおんいんの桜が入相いりあいの鐘に散る春の夕べに、これまで類のない、珍しい罪人が高瀬舟に載せられた。
高瀬舟 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
中村楼の雨傘を借りて、それを片手にさしながら、片手には例の折詰をげて、少し、ほろ酔い加減に、い気持で、ぶらぶらと、智恩院ちおんいん山内さんないを通って、あれから、粟田あわだにかかろうとする
狸問答 (新字新仮名) / 鈴木鼓村(著)
京都にある三大寺院は公使らの旅館にあてるために準備された。三藩の兵隊はまた、それぞれの寺院に分かれて宿泊する公使らをまもることになった。尾州兵は智恩院ちおんいん。薩州兵は相国寺しょうこくじ
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)