晩涼ばんりょう)” の例文
思い上がった主顔あるじがおを目に見るような気がされてくる。だが、ただ晩涼ばんりょうの川風と、庭のほたるだけは、いささか、それをなぐさめるに足るものだった。
早夕飯のあと、晩涼ばんりょうに草とりして居た彼は、日は暮れる、ブヨは出る、手足を洗うて上ろうかとぬれ縁に腰かけた。其時門口から白いものがすうと入って来た。彼はじいと近づくものを見て居たが
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
晩涼ばんりょうに池のうきくさ皆動く
五百句 (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)
ただ晩涼ばんりょうの風がそろそろ葛西かさいやつにも冷たくなり出していたのである。
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)