昨年きょねん)” の例文
あの阿米およねといいましてちょうど十八になりますが、親なしで、昨年きょねんの春まで麹町こうじまち十五丁目辺で、旦那様、えのきのお医者といって評判の漢方の先生、それが伯父御に当ります
政談十二社 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
……それから七年目、つまり昨年きょねんの春、ふとした手がかりで、その少女がアントワープにいることをつきとめましたが、私がまいりました時は既にこの世のひとではなかったのです。
キャラコさん:01 社交室 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
昨年きょねんのことで、妙にまたいとこはとこがからみますが、これから新宿の汽車や大久保、板橋を越しまして、赤羽へ参ります、赤羽の停車場ステエションから四人づめばかりの小さい馬車が往復しまする。
政談十二社 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)