春慶塗しゅんけいぬり)” の例文
春慶塗しゅんけいぬりのことについては秋田の産物を語る時に既に記しましたが、日本ではこの高山のと、前に記した能代のしろのものとが双璧そうへきであります。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
硝子ガラスの器を載せた春慶塗しゅんけいぬりの卓や、白いシイツをおおうた診察用の寝台ねだいが、この柱と異様なコントラストをなしていた。
カズイスチカ (新字新仮名) / 森鴎外(著)
春慶塗しゅんけいぬりぜんの上に来るを追いながらお久があおいでいてくれる団扇うちわの風を浴衣に受けて、要は吸い物わんの中に浮いているほのかな早松茸さまつだけの匂いを嗅いだ。
蓼喰う虫 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
春慶塗しゅんけいぬりの香盆を親戚しんせき一同へ配り物にしたのであったが、実際は、まあその理由もいくらかあったには違いないであろうが、義兄の本当の腹の中は、大阪で父の法事をすればどうしても華美になり
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)