旱天ひでり)” の例文
「考えてみなせえ。女旱天ひでりの世間じゃあるめえし……。この、帳場から眺めていると、沢山来る婀娜あだっぽい花の中から、今に、いいのが見つかるよ」
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
(和歌といふものは、手際よく例をひくと、旱天ひでりに雨を降らす事も、借金の日限を延ばす事も出来るものなのだ。)
雨が降り過ぎたり、旱天ひでりが続き過ぎたりして、犬の鼻がかなくなり、私の銃先つつさきが狂うようになり、鷓鴣のそばへも寄りつけなくなると、私はもう正当防衛の権利でも与えられたような気になる。
博物誌 (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
九旬にあまる旱天ひでりつゞきの焦燥や
春と修羅 第二集 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
この魚は天然によく処世を心得ていて、旱天ひでりがつづき、河水があがると、あのように頭から尾まで、すべて身を泥にくるんで、幾日でも転がったままでいる。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
道俗の男女なんにょは、旱天ひでりに雨露をうけたように、ここへ息づきを求めてくるのであります
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)