日置流へきりゅう)” の例文
また有村様の横紙よこがみ破りな。万一お怪我けがのある時には、この啓之助の落度おちどとして、殿より御叱責しっせきをうけねばなりませぬ。どうぞ、今日はこの辺で、ひとつ日置流へきりゅうのお手際てぎわを拝見いたしたいもので
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「あッ」と三人はそれを聞くとほとんど同時に叫びを上げたが、それは驚くのがもっともである。掛け声、矢走り、弦返つるがえり、それが寸分の隙さえなく日置流へきりゅう射法の神髄にピタリとまっているからである。
日置流系図 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
賛五郎の実兄の平田文吾ぶんごは、現在でも熊本の国もとで細川家の弓道師範をしており、禄高ろくだか四百石、日置流へきりゅうの弓では九州でもならぶ者のない人だが、賛五郎はその兄をもしのぐ上手だといわれていた程だった。
死んだ千鳥 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その巻物こそ他ならぬ弓道日置流へきりゅうの系図であった。
日置流系図 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)