方途ほうと)” の例文
清洲御立おたちの後、風説頻りと行われおり候、御帰国の方途ほうとわけて御細心に、路上の変異くれぐれおん備被遊そなえあそばさるべく候
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
宇治は欝々うつうつとうなだれて方途ほうともなく無茶苦茶に歩いた。道は再び密林に入った。
日の果て (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
ミチも、そんな世界へ行こうとは考えて居なかったが、勇の、若い猛獣の不機嫌さを思わせる、兇暴なすさみ方はえられず、彼の打擲ちょうちゃくに唇を噛みしめながらも、金を得る方途ほうとを考え続けた。
刺青 (新字新仮名) / 富田常雄(著)