“斯世(このよ)” の例文
而して斯かる国の斯世(このよ)に於て無きことは言わずして明かである、義の国は義の君が再び世に臨(きた)り給う時に現わる
斯(か)くと聞くより冷笑(あざわら)って、お前も武士の女房でないか、幽霊の変化のと云う物が斯世(このよ)にあろうと思うか、馬鹿も好(いい)加減にしろと頭ごなしに叱り付けたが妹は中々承知せず
お住の霊 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
あゝ、父は丑松の為に『忘れるな』の一語(ひとこと)を残して置いて、最後の呼吸にまで其精神を言ひ伝へて、斯うして牧場の土深く埋もれて了つた——もう斯世(このよ)の人では無かつたのである。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)