斜違はすっか)” の例文
そいつだが、婦人が、あのを連れて、すっと通ると、むくりと脈を打ったように見えて、ころころと芝の上を斜違はすっかいに転がり出した。
朱日記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
トその垣根へ乗越して、今フト差覗さしのぞいた女の鼻筋の通った横顔を斜違はすっかいに、月影に映す梅のずわえのごとく、おおいなる船のへさきがぬっと見える。
妖術 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ふと鼠色の長い影が、幕を斜違はすっかいに飜々ひらひらと伝わったり……円さ六尺余りの大きな頭が、ぬいと、天井にかぶさりなどした。
吉原新話 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)