斑雪まだらゆき)” の例文
庄吉は急におとなしくなって、言われたように斑雪まだらゆきの残った水沢のほうへ行くと、こちらに背を見せて枯蘆の間に坐った。
ボニン島物語 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
それは浦塩附近ここいらに初めて雪の降った晩で、あの屋根の白い斑雪まだらゆきもその時に積んだまんまなのよ。
支那米の袋 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
明の乗った信越線の汽車が桑畑のおおい上州を過ぎて、いよいよ信州へはいると、急にまだ冬枯れたままの、山陰などには斑雪まだらゆきの残っている、いかにも山国らしい景色に変り出した。
菜穂子 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
斑雪まだらゆきの残っている山肌を背景にして、赤松の幹に斜陽が当っている時もあった。
澪標 (新字新仮名) / 外村繁(著)
野と丘と白樺の林と斑雪まだらゆきの長尺フィルムだった。
踊る地平線:01 踊る地平線 (新字新仮名) / 谷譲次(著)