数行すうこう)” の例文
旧字:數行
数行すうこう主客しゅかくともに興たけなわとなり、談論に花が咲き、元気とか勝気かちきとかいさましい議論の風発せるあいだに、わが輩は退席せんとして玄関に出た。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
抽斎は初め数行すうこうを読んで、ただちにこの書信が徳の自力によって成ったものでないことを知った。文章の背面に父允成の気質が歴々として見えていたからである。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
押しいただいて、それを二つに割って、口へ入れるまでの間に、数行すうこうの涙が、かれの頬をぬらしていた。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ともしびくろうしては、数行すうこう虞氏ぐしが涙、夜深うしては、四面楚歌しめんそかの声
孔明は趙雲のひたいにいただいてさらに落涙数行すうこうした。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)