よじのぼ)” の例文
「わッしょい、わッしょいッ」と、背の高い、その電柱の天頂てっぺんまで、人技とは思われぬ速さで、よじのぼっていった。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
彼は社会の寵孫ちょうそんにあらず、彼が子弟もまたしかり。彼らはあたかも雪を踏んでアルプス嶺をよじのぼる旅客の如し。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
たとえくさりしばられていないにせよ、三人の悪者が此方に注意していないにせよ——何うしても逃げ出されないのだ。四面とも切り落したような峻嶺しゅんれいである。とてもこれをよじのぼって逃ることは六ヶ敷むずかしい。
捕われ人 (新字新仮名) / 小川未明(著)