擦傷すりきず)” の例文
よろめきまわるはずみにどこかへ打ちつけたとみえて、右の膝小僧のところへ擦傷すりきずが出来、そこからトロリと血をしたたらしている。
顎十郎捕物帳:24 蠑螈 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
頭を下にして、非常なる暴力を以て狭き煙突内に押し込みたるなり。体には猶温みありき。皮膚を検するに許多の擦傷すりきずあり。
そうした犬を両親にしてパトラッシュは生れました。彼は悪罵あくばと鞭とに育てられ一疋前いっぴきまえの犬となる前にすでに荷車を挽く擦傷すりきずのいたさと、頸環くびわの苦しみを味いました。
あらはれたり一個の紳士、真黒羅紗まつくろらしやの間より雪とかゞやき出でたる白シヤツに赤黒の顔のうつりも怪しく、満面に汗ばみて、のどのあたり赤き擦傷すりきずけだしカラアと咽の合戦の結果)一きは目だち
燕尾服着初めの記 (新字旧仮名) / 徳冨蘆花(著)