掻出かいだ)” の例文
「そうよ、大百じゃァない。……そんな大百でないだけチョロリ人に乗せられる。——掻出かいだされゝばすぐその気になる。」
春泥 (新字新仮名) / 久保田万太郎(著)
おりる時には今にも奈落の底へ墜入おちいりますかと思う程の有様で、実に山三郎もとてももういかんと心得ましたから、只船舷ふなべりつかまって、船の沈んではならんとあか掻出かいだすのみで
「しかし、いゝえ、それは俥のことばかり申せません。」わらってまた「うたむら」の主人は話を掻出かいだした。
春泥 (新字新仮名) / 久保田万太郎(著)