おやゆび)” の例文
「ええと、今何でさ、合せてなんて、余計なことを言いなすった時、おやゆび引懸ひっかけて、上が下りて一ツ飛んで入りましたっけ。はてな、」
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
奥畑は急にちょっと居ずまいを改めて、口付の煙草の灰をおやゆびでトントンと灰皿にはじき落しながら
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
玉は女を抱きかかえて室の中へれて来た。女の顔色は土のようになっていた。見るとえりから袖にかけてべっとりと血がついていた。その指をしらべると右のおやゆびれていた。
阿英 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)