あがら)” の例文
惡黨がつて居るお六も、あがらふ力もなく首を延ばし上げられて、左の小脇にかい込まれると思ふ間もなく、薄月に閃めく銀簪、あはやお六の右の眼へ——。
しかし自分の余りにもつたなかった来しかたにあがらうような、そうして何か自分の運を試めしてみるような心もちにもなりながら、その郡司の息子について近江に下っていった。
曠野 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
あがらふ猪之松は、馴れた萬七の手にたぐり寄せられました。