打衣うちぎぬ)” の例文
そして、薄紅梅うすこうばいに、青摺あおずり打衣うちぎぬを襲ねたもすそからこぼれた得ならぬ薫りが、いつまでも、自分のあとを追ってくるような気もちにとらわれた。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それからずつと探りまはすと、絹らしい打衣うちぎぬの袖にさはる。そのきぬの下の乳房にさはる。円々した頬やあごにさはる。氷よりも冷たい髪にさはる。
好色 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)