手触てざは)” の例文
旧字:手觸
持山 (鞄から紙幣貨幣を掴み出し)さつきと、手触てざはりが違はあ。おや、案外、集めたぞ。(一同のぞき込む)待てよ。先づ、分類してみよう。
雅俗貧困譜 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
が——書籍包のなかにタヅコ、カノウと下手へた羅馬ローマ字で署名してある英読本の手触てざはりをさぐつて見ると、和作はやはり何か友達を売つたやうな心地になつた。
朧夜 (新字旧仮名) / 犬養健(著)
房々とした富岡の頭髪の手触てざはりが、いまでもじいつと思ひをこらすと、てのひらのなかに匂つてきた。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)