手擲弾しゅてきだん)” の例文
旧字:手擲彈
我軍のタンクを草むらの中からねらっている野砲があったので、一人の勇士がタンクを乗り捨てて手擲弾しゅてきだんでその野砲を退治してみたところが
兵士と女優 (新字新仮名) / 渡辺温オン・ワタナベ(著)
やがて、進軍、塹壕ざんごう白兵はくへい戦、手擲弾しゅてきだん。砲声が聞えてくる。爆撃機のうなりが空をおおう。
戦雲を駆る女怪 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
そのの八時何分か過ぎ、手擲弾しゅてきだんあたった江木上等兵は、全身黒焦くろこげになったまま、松樹山しょうじゅざんの山腹に倒れていた。そこへ白襷しろだすきの兵が一人、何か切れ切れに叫びながら、鉄条網てつじょうもうの中を走って来た。
将軍 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)