所作事しよさごと)” の例文
今日から見ても價値のある歌舞伎所作事しよさごと、三絃本位の音樂、さういふものは皆醜業婦を中心とした江戸の下層社會から生れたものだ。
新帰朝者日記 (旧字旧仮名) / 永井荷風(著)
さる夏狂言評好く拙作の所作事しよさごと勤候處、先づ勤めてのき候故、去顏見せには三座より抱へに參候仕合故しあはせゆゑ、まづ役者にはなりすまし申候。」
寿阿弥の手紙 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
おかる勘平かんぺい道行みちゆきといつたやうな、芝居の所作事しよさごとと、それにともなふ輕く細く美しい音樂とが、しきりに思ひ出されて來た。
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
そしてひざまづいた。その間、矢張り白いよそほひをしたデント夫人とルヰザ・イィシュトンとは、二人のうしろに位置をとつた。默劇の中に式が始まつた。婚禮の所作事しよさごとであることが直ぐにうなづかれた。
けつの毛まで拔かれたやうな、岡崎屋三十郎をこの寒空に裸にして、その背中の上で所作事しよさごとをやらかさうと言ふのだから、これが無事に行きましたら、お目にかゝりたいくらゐのもので、へツへツ
銭形平次捕物控:315 毒矢 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
劇通で芝居の所作事しよさごとをしくんだ壽阿彌にかくの如き滑稽のあつたことは怪むことをもちゐない。
寿阿弥の手紙 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
「あつしが笑つたのは、そのお祭りに出る所作事しよさごとの話ですよ」
銭形平次捕物控:315 毒矢 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)