所以いわれ)” の例文
婦燭をりて窟壁いわ其処此処そこここを示し、これは蓮花の岩なり、これは無明の滝、乳房の岩なりなどと所以いわれなき名を告ぐ。
知々夫紀行 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
丁度葉裏はうらに隠れる虫が、鳥の眼をくらますために青くなると一般で、虫自身はたとい青くなろうとも赤くなろうとも、そんな事に頓着とんじゃくすべき所以いわれがない。
藤次郎が東雲と号したことについては所以いわれのあることで、この東雲という人は非常な師匠思い……したがって正直律義りちぎであり、製作にかけてもなかなかすぐれている所からして
本阿弥の辻と町の者が呼ぶ所以いわれは、光悦の一軒があるのみでなく、彼の住む素朴な長屋門に隣りして、彼のおいとか、同業の職人たちとか、一族の者がみなこの辻の表や裏に、仲よく
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「土人の女がこの俺のような支那の若者をこう熱心に保護してくれる所以いわれがない」
沙漠の古都 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)