懐之かいし)” の例文
棭斎ののち懐之かいしあざな少卿しょうけい、通称は三平さんぺいいだ。抽斎の家族は父允成、妻徳、嫡男恒善つねよし、長女いと、次男優善の五人になった。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
懐之かいし屏風集の催し有之候由申越し。是は新趣向大に面白き様存じ候。付いては拙の詩此の度愚意を懐之まで述置き候間猶宜しく御願申候。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
柏軒の正妻狩谷かりやたかの生んだ子は、幼くて死した長男棠助とうすけ、十八、九歳になって麻疹ましんで亡くなった長女しゅう、狩谷棭斎えきさいの養孫、懐之かいしの養子三右衛門さんえもんに嫁した次女くにの三人だけで
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
「横山懐之かいし江州ごうしゅうノ人ナリ。自ラ湖山ト号ス。来ツテ余ノ塾ニ寓ス。年僅ニ二十七。志気すこぶる壮ナリ。客歳常房ノ間ヲ周遊シ、ちかごロ江戸ニ還リソノ詩ヲ刻セント欲シテ余ノ題言ヲもとム。」
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)