懐中絵図ふところえず)” の例文
途中、街道の古びた草紙屋で見つけて買い求めたのは、一冊の懐中絵図ふところえず——その頃、まま版行された道中細見さいけん、あるいは、御府外名所手引てびきなどのたぐいでありましょう。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
のろのろと往還おうかんする牛飼うしかい、野菜車、馬子まご、旅人、薬師詣やくしもうでの人たちの中に交じッて、平坦へいたんな街道を歩みながら、その懐中絵図ふところえずをひろげて見ましたが、高麗村という名は見当らない。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)