憚様はばかりさま)” の例文
旧字:憚樣
左の手を畳に衝いて受けた杯に、おちゃらが酌をすると、「憚様はばかりさま」と挨拶をする。香油に光る髪が一握程、狭い額に垂れ掛かっている。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
憚様はばかりさまですがちょいとそうおっしゃって下さいましな、またお客様で御邪魔だと悪うございます。)
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「酔はないと申上げにくい事なのですから、私少々酔ひますから貴方、憚様はばかりさまですが、もう一つお酌を」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
憚様はばかりさまですが、この手を引張つて下さいましな。ああ、早く、私転びますよ」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
(へん、ちゃぶ屋の姉さんじゃあるまいし、夜更よふけにお客は取りませんからね、昼間寝たりなんかしませんよ、はい、憚様はばかりさまでございますよ、いたのはそこに出してあら、)といいずてにのびをして
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
これは憚様はばかりさまです。ちよつと身支度に婦人の心添こころぞへを受けるところは堀部安兵衛ほりべやすべえといふ役だ。然し芝居でも、人数にんずが多くて、支度をする方は大概取つて投げられるやうだから、お互に気を着ける事だよ
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
憚様はばかりさま。お客は旦那様のお友達の母様おっかさんでございます。」
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
憚様はばかりさま、お座敷は宵の口だけですよ。」
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「どう致しまして、憚様はばかりさま。」
湯女の魂 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
憚様はばかりさま。」
化銀杏 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)