憐憫あわれみ)” の例文
イエスがその憐憫あわれみを受けて癒された一人の重い皮膚病を患っている人のそのままいすわろうとしたのをひどく叱責せられて
これ以上、われ等はこの問題もんだいにかかり合っているべき勇気をたない。われ等の使命は、地上の人間の憐憫あわれみを乞うべく、あまりにも重大である。
私は、自分の浅墓あさはかよろこびを考えると、じつに無限と云っていいくらい、胸の中が憐憫あわれみで一杯になってしまうのです。
白蟻 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
そうした声を聞くと、瑠璃子の心にも、勝平に対する憐憫あわれみかずにはいなかった。彼女は、始めて我に返ったように、台所の方に駆け出しながら、大声を出した。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
もとより、これがお前の仕組んだ芝居で、可哀相な幸子はただ死にかけたお前に対する憐憫あわれみから心にもない一役を演じたに過ぎないなぞとは、知るべくもなかったのだ。
勝敗 (新字新仮名) / 渡辺温(著)
「しかし、傭人という私の立場も、十分お察し願いたいと思いまして」と訴えるような眼で、憐憫あわれみを乞うような前提を置いてから、ず怯ず二人の名を挙げた。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)