慊焉けんえん)” の例文
これは「雨ふれど音の聞えず、しぶきのみ露とぞ置く」コンクリート建築に慊焉けんえんたる結果、さわやかな雨の音におもいせられたものであろう。
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
元来家屋はレスパネエ夫人の所有なりしに、宝石商これを借り受けをり、濫に上層を他人に又貸ししたる故、夫人はその所為に慊焉けんえんたるものあり。
華麗絢爛なヴァイオリン奏法に慊焉けんえんたる若きリアリストたちが、若さと情熱とを、その堅実無比な手法に封じて
この室に居るものは、な君の所置ぶり慊焉けんえんたらざるものがあるから、将校方は黙許なされても、そんな国賊は、きっと談じて、懲戒を加ゆるために、おのおの決する処があるぞ。いいか。
海城発電 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
しかしフーベルマンの録音の古さに慊焉けんえんたる人は、言うまでもなく、このハイフェッツを採るべきである。
この室にゐるものは、皆な君の所置ぶりに慊焉けんえんたらざるものがあるから、将校方は黙許なされても、其様そんな国賊は、きっと談じて、懲戒を加ゆるために、おのおの決する処があるぞ。いいか。
海城発電 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)