愛鷹山あしたかやま)” の例文
信長は、払暁ふつぎょうすでに、大宮を立って、浮島ヶ原から愛鷹山あしたかやまを左に見て進んでいた。旅行中も、寝るにはおそく、起きるにははやい信長だった。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
成立の原因は違っても、富士の愛鷹山あしたかやまの頂上部が、仮に爆裂飛散せずに原形を保存していたとすれば、シャスチナ位になっているかも知れない。
火と氷のシャスタ山 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
思はず長い時間を其處で費し、また街道に出て暫く行くと道はやゝに海岸を離れて愛鷹山あしたかやまの根に向ふ形になる。そしてその向うに吉原宿の町が見えてゐる。
のたり/\の波の長閑のどかな春の海面うなづら愛鷹山あしたかやまの上から富士が覗いている。
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
その功によって愛鷹山あしたかやま南麓の高国寺城を預かることになった。
愛鷹山あしたかやまや富士の高嶺たかねかすかになりて、天つ御空の霞に)——
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
東の窓からは近く香貫かぬき徳倉とくらの小山が見え、やゝ遠く箱根の圓々しい草山から足柄あしがらの尖つた峰が望まるゝ。北の窓からは愛鷹山あしたかやまを前に置いた富士山が仰がるゝ。
樹木とその葉:04 木槿の花 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
ぜひなく、愛鷹山あしたかやまの根に沿った西への道を、幾段にもなって、落ちて行った。敵に追われ、雪風に捲かれながら、逃げなだれてゆく人馬の影が日没まで絶えなかった。
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その平野の東寄りの奧に愛鷹山あしたかやまがある。